アイデアのひねり出し方

ここ最近アイデアをひねり出す機会が多かったので、自分なりにイメージしているアイデアのひねり出し方を書き留めておく。

ここでいうアイデアとは、企画コンペのようなある程度自由度の高い案出しが求められているシチュエーションにおけるアイデアのことを指す。

アイデアをひねり出すのには3つの工程がある。

  1. 発酵
  2. 鍵穴理解
  3. パズル

発酵

ここでいう発酵とは、常日頃から物事に触れそれについて分析し深く考える行為のことを指す。

たとえばテレビゲームであれば、実際にどれだけ色んなゲームを遊んだかも重要だし、マリオの1−1の完成度の高さについて考えたり、マリオカートとグランツーリスモの提供する面白さの違いについて考えたり、現代のリッチで複雑なAAAゲームのファミコン版を作るとするとどうするか考えてみたり、カイヨワ的な遊びの観点からゲームを分類したり、やれることは色々ある。

  • 物事を抽象化して構造として取り出す
  • 複数の切り口から抽象化を試みる
  • 構造どうしの組み合わせのパターンを探す
  • 一見すると別物なのに構造自体は同じものがないか探す
  • 全然違う別分野に同じ構造のものがないか探す
  • その分野が抱えている問題を理解し、その問題の解決方法と、その解決方法を適用できない構造的な理由を理解する

『アイデアのひねり出し方』と銘打ったが、「よーしアイデアを考えるぞ!」となったタイミングで発酵を始めてももう遅い。この工程には数ヶ月から数年かかる。

鍵穴理解

鍵穴理解とは求めれている答えの条件を見極める行為を指す。

コンテストであれば募集要項を読み解き、主催者が何を求めているのか理解する。顧客の課題解決が目的であれば、ヒアリングして課題を正しく認識する。相手の言ってることをそのまま言葉通り受け取ればいい場合もあるし、真の問題は別のところにある場合もある。鍵穴は1つとは限らない。複数の鍵穴があって、それらのうち1つだけを開けばいい場合もあるし、全部開けないといけない場合もある。その分野について発酵を何年も繰り返した者だけが発見できる鍵穴もある。

この工程を間違うとすべてが台無しになる。アイデアには発散が大事だが、鍵穴を理解しないで行う発散は徒労に終わることが多い。

パズル

自分の持っている積み木を組み合わせて鍵穴ピッタリの鍵を作るのがこの工程。

鍵穴より大きい鍵を作っても通らないし、鍵穴より小さい鍵を作っても「それはそう…」となりアイデアとしてのインパクトは薄くなる。ぴったりジャストフィットしてこそ良質なアイデアとして認められる。

積み木の数は『発酵』をどれだけやったかで決まる。発酵とお題理解が済んでいればパズルは必然によって導き出される工程ではあるのだが、実際なかなかそうはいかない。うんうんと頭をひねり、散歩をし、風呂に入り、一晩寝てやっと答えがでる。

マリオの生みの親である宮本茂は「アイデアというのは複数の問題をいっぺんに解決することである」と言った。問題Aを解決するのは簡単。問題Bを解決するのも簡単。でも問題Aと問題Bを同時に解決するのは難しい。それを解決できるのがアイデアだ、と。

簡単に解決できる問題なら誰かがすでにやっている。もし自分にだけそれができるのならば、以下の理由が考えられる。

  • A:歴代の先人たち全員より自分の頭が良い。
  • B:過去の先人が持っていない積み木を自分だけが持っている。
  • C:最近鍵穴の形が変わった。
  • D:過去の先人たちはその鍵穴のために鍵を作ることに価値を見出していなかった。

の4パターンのうちのどれかだ。Aが答えであることはまずありえない。大抵の場合はDであり、その場合鍵穴が間違ってる可能性が高い。