アニメ『千年女優』を映画館で観てきた。もとは2001年に上映されたアニメ映画なので、既にDVDや配信で5・6回は観た。でも今回リバイバル上映ということで、こんな機会はもうないだろうからと足を運んだ。自分が行った映画館は予約がもう1席の状態で、満員だった。やはりみんな考えることは同じだ。
やはり何度観ても千年女優は良い映画だ。場面と場面がマルコフ連鎖のように繋がっていくスムーズさは職人芸。映像的な美しさもあるし、認知症の老人の脈絡のない会話というテーマとも上手くシンクロしている。
こんだけカオスに物語が進むのに、本筋の「鍵の君を追う」という話がシンプルで一貫してるのでとても見やすい。やはり今敏は天才だ。作家性をちゃんと作品の中に落とし込んでハイレベルに成立させている。
立花→千代子→鍵の君の追いかける連鎖構造、島尾&老婆&現代千代子→過去千代子の嫉妬の連鎖構造、節目節目の地震、映画の中で同じ構造が何度も繰り返されるのは数学的な美しささえ感じる。ボーッと見ていてもストーリーにはついて行けるし、2度3度見るとメタファーを噛みしめられる。
ラストシーンは昔から賛否両論だけど、近年では『推し』の概念が発明され、ラストのセリフに共感する人も増えているのではないかと思ったりした。
映画を観たあとWikipediaで千年女優のページを読んでいたら、声を当てている声優のうち何人かは俳優出身だった。それ自体は珍しくないのだけど、その声優の年齢から逆算すると主人公と同じ時代に映画界にいたらしく、演じてる方々も感慨深いだろうな。
去年観た『君たちはどう生きるか』『窓際のトットちゃん』『ゲゲゲの謎』といい、なんだか最近は戦中戦後を舞台にしたアニメをよく観る。同じ時代を色んな角度から見ると見える景色もだいぶ変わってて面白い。